新・東京の博多ラーメン!!

  

・苛立たしい表現

私の良く知る人がYMCAで在日外国人援助のボランティアをしていたのだが、そこで知り合ったフランス人が「『コムサデモード』というトンデモフランス語を見たり聞いたりする度に神経がササクレ立つ」といっていたそうな。私はそのフランス人の気持が分かるような気がする。

  

・九州と納豆

納豆に対する嗜好は極端な地域差があり、西日本ではあまり食べられていないことは良く知られているが、北部九州は飛び地のように納豆が食べられる地域となっている。これは前九年・後三年の役で源義家に滅ぼされた安部氏一族の安部宗任が太宰府に流された時、東北発祥の納豆が伝えられたからであるらしい。(文禄の役以後加藤清正によってもたらされたとも言われる。)もっとも納豆に対する嗜好ととんこつラーメンに対する嗜好にいかなる関係があるのかは知らない。むしろとんこつラーメンに対する嗜好は南に行く程強まる甘さへの好みと関係があるらしいが、これも私は良く知らない。

  

・問題の部分

削除されないうちに問題の部分だけ引用しておこう。
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麺は博多としては太め。固めでオーダしたけど、全然固くなかった。一見だか
らデフォルトにされてしまったのかもしれない。
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・トンデモなゴタクを並べたサイト

痛いサイト:第一弾 最初は躊躇していたが、今後は余りに痛いサイトは積極的に晒してやることに決めた。その第一弾がこれである。「九州長浜ラーメン戦争編」!(失笑)まずこのサイトすべてを読んでからこのゴタクを読んでもらう方が、より一層私の怒りが伝わるかと思う。

  

・群盲象を撫でる:博多/長浜系?何それ?

最近よく耳にするようになったのが、博多系/長浜系という分類である。少なくとも私が福岡にいた頃はそんな分類は耳にしなかった。つまりこれは「東京でのみ大々的に通用している福岡のラーメンの分類」という珍妙なものである。想像するに、多分福岡に来て『元祖長浜屋』だけを食べた非地元民が「これがいわゆる長浜か、こんなに薄いのか」と勝手に思い込み、勝手に命名したという所であろう。歴史的に見ると、元祖長浜屋は古いタイプの博多ラーメンから支流として分かれた経緯は確かにはっきりしている。しかし博多系/長浜系という言い方は明らかに事実を正しく反映していない。第一に長浜にある/長浜の名を持つ博多ラーメンが常に淡白であるなどという事実はない。また、地元では「『元祖長浜屋』は淡白だ」という認識は共有されていても、「一般に淡白なラーメンを長浜系と言う」という共有された認識はない。第二にすべての博多ラーメンが博多系/長浜系のどちらかに分類されるという事実はない。博多ラーメンのスープのバリエーションの幅の広さについてはしつこく繰り返している。そのような個性豊かなラーメンが濃厚/淡白のたったの二つのカテゴリーに分類されるはずはない。これらはスペクトルとして連続的に分布していると考える方が事実に即しているであろう。

  

・もつ鍋

私が東京で強力に推薦できるもつ鍋店は、中目黒の「鳥小屋」である。東京のもつ鍋ガイドについては他日を期したい。

  

・ナンチャッテ博多ラーメン店

そこは浅草国際通り沿いの某ラーメン店。ノレンにはしっかり「博」「多」「天」「神」と書いてある。しかし小汚い殴り書きで健康に良いだのきれいな水だの怪しいことが書いてある紙がべたべた張ってある。期待度0で入ってみたら、出て来たのは業務用スープを溶かしただけのものに半透明チジレ麺。○○○○亭だの○○○○舘だので出るなんちゃってとんこつラーメンだった。チェーンでない店で出されたのは初めて。でも普通ならこれで「博多」を名乗っているところに怒り狂う所だが、親父のよぼよぼした手際の悪さ、怪しい殴り書き、店の奥にある70年代物と思われる「白黒」テレビ(欲しい!!)などの毒気に当てられて、呆然と店を出たのだった。ふと振り向いた私の目に飛び込んだのは「博多天神」ののれん。ダメ押しだった。それからの私の記憶はプッツリと切れていて、気がつくと自宅の布団の上だった。

  

・もう一つの博多ラーメン

最近、福岡では有名なチェーン店が東京にまた一つ進出した。が、これまで地元から東京に進出したチェーン店とは違って、この店のラーメンは関東向けにアレンジした「擬博多風白湯麺」ではない。そして非福岡地元民の博多ラーメン好きは、この味に是非注目して欲しいのである。

私はこのサイトで繰り返し博多ラーメンのスープのバラエティが広いことを強調して来た。だが、東京に実物が無い種類のスープに関しては、いくら私が言葉を尽くしても実感してもらえなかったのは当然である。そのような種類の味に、言わば「古式」、ないし「原始」博多ラーメンと言えるようなものがある。東京にある博多ラーメン店のスープはほとんどすべて白濁完全不透明のスープだが、地元には、数の上では少ないが「黄金(コンソメ)色半透明」というタイプのスープを出す店がある。このタイプのスープは、味も香りも白濁不透明タイプのそれとは違う。半透明タイプは骨随臭というより焼いた豚の放つ甘い香りに近い香りを持っている。実は博多ラーメンのルーツと言われる店のラーメンはこのタイプに近いものである。そしてもちろん、黄金色半透明タイプと白濁不透明タイプの中間と言えるものも無段階的に存在する。(ちなみにこのルーツとされる店は今も古いスタイルをきちんと守って営業している。一見醤油ラーメンのような色と透明度のスープに平打ち麺と、全国的に典型的と思われている博多ラーメンしか知らない者が食べたなら仰天する事間違い無しであろう。良い意味でシーラカンスのように貴重なこの店が末永く続く事を祈っている。)

だが、東京では無臭白湯麺もそうでない本物志向の博多ラーメンもほとんどすべて白濁完全不透明タイプである。さらに東京で本格派として有名な店、例えば[金太郎]や[よかろうもん][とんでんかん][御天]等は、白濁不透明度の非常に高い、いわゆる「濃い」タイプのスープである。そのせいで白濁完全不透明のスープ、しかも非常に「濃い」ものが博多ラーメンの「標準」だと思われている節がある。だが福岡では、この手の「濃い」タイプのスープ(福岡では『八ちゃん』『だるま』『秀ちゃん』『ふくちゃん』などのスープに対応する)は、数の上では小数派である。「標準」をイコール数の上で最大多数派とするなら、福岡ではそれは決して「標準」ではない。「標準」はもう少し透明度の高いタイプである。(ちなみに東京でこの手のスープに一番近いのは[ばってんラーメン]だと思う。)つまり東京には、福岡の感覚で言えば超濃厚〜濃厚タイプの店は多数あるが、もう少し透明度の高い店ほとんど存在しなかった。そしてもちろん黄金色半透明スープなどはまったく存在せず、説明不能な状態であった。このように東京の博多ラーメンスープのバラエティは極めて偏っていたのである。もし不透明度を中心軸、店舗数を横軸に取って博多ラーメンスープの分布図を作るなら、福岡はダイヤモンド型になるのに対して、東京は縦の長さが福岡の上半分しかない逆三角型になると言えば分かり易いであろうか。

このような状況の中の黄金色半透明タイプのスープの出現である。これは大いに歓迎するべきことだと思う。東京で食べられる博多ラーメンスープのバラエティが広がり、より多くの人がより博多ラーメンの持つ深さに気づいてくれれば博多ラーメンを愛するジモティとして大変嬉しい。

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